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暁闇
第11章 始める決意
「その人、父さんだよ」
そう、言った。
「…………は?」
俺はきっと間抜けな顔をしていたと思う。
「だからオレたちの父さんだって。
時々こうやって会ってんだよ。
それでオレもここ来たんだけど」
「……っ、マジかよ」
俺の動揺は、いったい……。
はあ……と、安堵のためなのか何なのかよく分からない溜め息をつく。
「……やっぱ翔悟さん、姉ちゃんのこと好きなんじゃん」
耳に届いた、丈の呟き。
彼を見ると、なんだか得意そうな顔で。
「ねえ、翔悟さん」
黙ったまま、彼を見つめると。
「大人にはいろいろめんどくさいことあんのかもしんねーけどさ。
結局は、好きか嫌いかだけっしょ」
丈はその視線を受け止めながらそう言い、最後に、にっ、と笑った。