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暁闇
第14章  弟


「ただいま……」


アパートの玄関のドアを開けると、洗面所の方から何か声が聞こえた。

近づいて確認すると、どうやら丈はバスルームでシャワーを浴びているらしく、聞こえた声は彼の鼻歌で。
なんだかご機嫌のようだった。


リビングに入ると、そこは綺麗に片付いていた。
洗い物もされていて、水切りかごにお皿が並べられている。


「結ちゃんかな……」


今日は他のみんながいろいろ持ってくるから、何も準備しなくていいと弟に言われていた。
うちは場所の提供だけでよかったらしい。


バッグを椅子に置いて。
ずっと持ったままだった、冷めたコーヒーを流しに置く。

やかんを火にかけた。
なんだか濃いコーヒーが飲みたくて。


……シュンシュンと、やかんから聞こえてくる音。


それをただ、聞きながら。
私は少しぼーっとしていて。



「あ、姉ちゃんお帰りー!」



弟の声で、はっと我に返った。


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