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暁闇
第14章 弟
「ただいま」
弟を見ると、なんだかやっぱり機嫌がよさそうで。
「楽しかったみたいね」
そう声を掛けると、え!? と。
少し焦ったように丈が反応して。
「え? って……みんなで集まったんでしょう?」
「あ、ああ! そう!
……すげー楽しかった。うん」
そう言いながらソファーに座り、もう一度、うんと頷く。
「何? 何か変だよ?」
「んなことねーし!」
「そう?」
やかんから、お湯が沸いたことを知らせる音が鳴る。
私は、コーヒーをいれながら再び口を開いた。
「これ、結ちゃん?」
「は!?」
弾かれたように私を見る丈。
「だから、洗い物」
「あ、うん! そう、結!」
「そっか。ほんとに気がつくいい子だよね」
「うん――――!」
すげーいい子。
めっちゃいい子。
そう、にやけた顔で呟く姿がおかしい。
「……変なの」
そう言いながら、つい私も笑ってしまった。