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暁闇
第2章 花冠の……
「琴音」
桜井の名を、優しく呼ぶ。
「……葉月くん……村上くんがね、来てくれたの」
彼を見て、そう言う。
「うん。気づいてたよ」
そして先輩は俺の方へと向き直る。
「村上君。本当によく来てくれたね」
「あ……いえ」
「嬉しいよ。君にはあらためてお礼を言いたかったから」
「先輩――――」
「本当にありがとう」
――その言葉が、どんな意味なのか俺には分かっていた。
たぶん、いろいろな意味を含んでる。
今日のこと……以前のこと。
「琴音のこと、絶対幸せにする。約束するよ」
そして先輩はそんなことまで、俺に律儀に宣言してきて。
思わず、笑ってしまった。