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暁闇
第2章 花冠の……
「幸せに、な」
口元に小さく笑みを作る。
「……ん……」
それだけを呟いた桜井。
また、泣きそうになってる。
「……おい、泣くなよ?」
こくこくと、頷いて俺の言葉に答える。
……けれどとうとう、その瞳から涙が零れおちた。
「……言ったそばから」
焦った俺は、坂本に助けを求めるべく彼女を探す。
――と。
少し離れた場所で、こっちを見ている葉月先輩に気づいた。
目が合って、会釈をすると、先輩が……同僚だろうか、話していた人たちに何か仕草をして、それから俺と桜井の方へ近づいてきた。