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暁闇
第15章 私
母の実家には、祖父母が住んでいて。
全部事情は知っているはずなのに、何も言わず、いつもと変わらない笑顔で私たちを迎えてくれた。
弟は、最初はさすがにだだをこねたけれど。
でもまだ小さかったからか、新しい学校と新しい友達にはすぐに馴染んだようだった。
私も、新しい中学で。
何も知らないクラスメートたちの中で、ただ静かに、最低限の交流だけをして一年間過ごし、そのまま地元の高校へと進学した。
高校は、いろいろな中学から人が集まる。
けれど、元いた中学とここはかなり離れているので、そこからその高校に進学してくる子は皆無だった。
私は安心して日々を過ごし、高校生活にも少しずつ馴染んでいく。
……宮田先生のことは、よく思っていた。
新しい学校に、私との噂は広まってないんだろうか。
先生は仕事に誇りを持っていたのに、私のせいでその仕事がしづらくなっていたとしたらどうしよう――――。
そう……そんなふうに。