この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
暁闇
第15章 私
初めて彼と会ったとき。
桜井くんと琴音さんと話している彼を見て、その雰囲気から、なんとなく察してしまった。
桜井くんが度々口にしていた、琴音さんの友達。元彼。それはこの人だと。
話してみたかった。
想い人の結婚披露の場で、何を考え、どう思うのか。
それほどまでに好きな人は、どうやれば想い切れると思うか。
……いろいろ、話してみたいと思った。
だって、私もまだ桜井くんを好きだと感じていたから――――。
ふたりが付き合いだしたと知ったとき。
もうこの想いは忘れないと――――そう思った。
でも、毎日のように会う人への気持ちを忘れるというのは、思っていたよりも難しくて。
しまいには、忘れる必要なんかあるんだろうか? って。
どうせ口には一生出さない想いなんだから、無理に忘れようとしなくてもいいんじゃないか――――そんなふうに考えるようになっていた。