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第15章 　私

……けれど。


『好きだからです』


……そう、とうとう口にされて。
どうしよう――――と、思わず俯く。


何も返事ができなかった。


そんな私に、琴音さんのことを話してきた翔悟くん。
私がいたから、彼女への気持ちを諦めることを決められたと。
私の存在が、彼女を過去にさせてくれたと。

今、好きなのは私だけだ、と――――。


『一番近い存在でいたい』


彼がくれた言葉は、そのまま私の想いでもあって。

心臓が、ぎゅっ……と掴まれているかのような。
苦しくて。
それなのに、どうしようもなく嬉しい――――そんな、自分でももう何なのかわからなくなるような感情。