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暁闇
第17章 交わすたび、深まって
好きです――――彼の唇が、そう形作られ。
向けられるその想いに、答えたいと……心が動く。
「……ん」
喉が詰まる感じがして、うまく言えるかわからなくて。
それだけを、返した。
なんだか泣いてしまいそうで、咄嗟にあいている手の甲を唇に押しつける。
でも、その途端に涙が零れて。
「好き」
涙と一緒に、言葉も零れる。
「……っ、私も、好きです――――」
ぽろぽろと、溢れてくる涙と言葉。
う……、と声を詰まらせると、翔悟くんは身体を私の方に向けて。
そのまま片方の手で抱き寄せてくれて。
手を繋いでくれていたもう片方も、私の背中へと。
「……それが答えなんじゃないんですか」
耳元で、息を吐きながら囁かれて。
その腕の力は、さらに強まって。
「選べないんじゃなくて。
選ぶのを、あおいさん自身が躊躇ってるだけ」
「……っ、私……」
「自分は幸せになっちゃいけないって思ってた?」
腕が緩められて。
見つめられる。
「そうやって……そんなふうに思いながら、今までずっと?」
その表情が、一瞬苦しそうに歪んだ。