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暁闇
第17章 交わすたび、深まって
「なのにその場で断らなかったのはどうしてですか」
「翔悟くん――――」
「ちゃんと考えて、あおいさん」
考えて――――繰り返された彼のその呟きと同時に、繋いだ手に力が込められた。
「断れなかったのは、どうして?」
言われた『どうして』の言葉。
ぐるぐると、頭の中で回ってる。
翔悟くんの顔は真剣だ。
真剣に、私を見てる。
「さっき、電話で言ったこと」
そして、そう言われ。
そのときを思い出す。
「……もう一度聞かせてください、ここで」
囁かれて、ごくりと私の喉は上下した。
微かに開いた唇は震えてしまって。
思わずまた固く閉じる。
「あおいさん」
名前を呼ばれ、続けられた言葉は。
「俺はあなたが好きです――――」