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暁闇
第17章 交わすたび、深まって
「翔悟くん――――……」
後頭部に回された手で、彼の胸元に導かれた私の頭。
「……聞こえますか」
どくんどくん、と。
私みたいに、翔悟くんの胸の音も早い。
頷くと、きつくきつく抱き締められた。
「俺の全部が、あおいさんを好きだって言ってる」
頭を撫でられ、そのまま髪に顔を埋めるようにして
「俺、今……すげー幸せ」
呟かれた言葉。
反射的に首を振っていた。
……だって、幸せなのは私の方だから――――。
「明日になったら、やっぱり付き合えないとか……そういうのなしなんで」
「……なし?」
「なしです。そんなの俺……許さない」
「やだ……翔悟くんこわい」
くすくすと彼の胸元で笑う。
「本気なのに」
そう拗ねたように答えながらも、その声には笑いが含まれているのがわかる。
そして少しの沈黙の後――――。
「……あおいさんのこと、もう離しませんから」
感じる翔悟くんの想い。
好かれているという、実感。
きゅっ……と。
胸が疼く。
――――なんだか急に、泣きたくなった。