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暁闇
第18章 繋いだ手
ずっと勇気がなかった。
ある意味、居心地のいいその殻の中から出る勇気が。
傷つけるのも。
傷つけられるのも。
傷つくのも。
……もういやだった。
幸せになっちゃいけないという意識は、勇気が出せずあれから立ち止まったままの弱い自分を正当化するために生まれたものなのだろうか。
はあ……と。
深く、静かに息を吐く。
彼のその寝顔を見つめながら。
私は幸せになっちゃだめなんだ、って。
ずっと自分に言い聞かせてきたけれど。
それは、幸せになろうとしない自分を。
傷つくのがこわくて動こうとしない自分をただ守るための、言い訳だったのかもしれない――――。