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暁闇
第18章 繋いだ手
睫の長いきれいなその顔。
零れる、規則的な寝息。
見つめると、自然に口元に笑みが浮かんでしまう。
……彼は、琴音さんのことであんなに苦しんだはずなのに。
前を向こうと決めて。
そしてちゃんと、そうしたんだ。
まっすぐに、私を見てくれて。
私のすべてを、真剣に聞いてくれて。
殻に閉じこめていた想いを、解放させようと。
私にも、前を向かせようと。
……強いひと――――。
きゅうっ……と。
胸が締め付けられるように痛む。
こんなひとから、私は好きだと言ってもらえてるんだ。
こんなひとが、私を求めてくれているんだ。
そう思うと同時に、ぞくり……と、肌が粟立つ感覚がした。
途端に胸が苦しくなり。
たまらず私は息を吐く――――。