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暁闇
第18章 繋いだ手
「どこに行くの?」
助手席に乗り込み、運転席の彼に尋ねる。
「とりあえず、映画館」
「とりあえず?」
面白い言い方、と思いながら
「今、何の映画やってるのかな」
そう答えた私は、スマホで上映作品のチェックを始めた。
何が見たい? と前置きしタイトルを挙げていく。
時々翔悟くんが、それ内容どんなの? と聞いてきたから、あらすじが載っているページを開いて、それを読み上げたりした。
そして結局決まったのは、ラブストーリー。
やっぱり気分的にね、そう言い合って。
そっと送った視線に、翔悟くんは気づいたのか。ちら……と一瞬それを絡ませてきた。
すぐに視線は前へと戻されたけど、その代わりに口元に深く浮かべた笑み。
どきり、と胸が騒いで。
……こんなに幸せで、いいんだろうか。
突然のように浮かんだその思考に、少しだけ苦しくなった。