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暁闇
第18章 繋いだ手
これから駅ビルを回るというふたりとひとまず別れ、私たちはドリンクを買うために列に並んだ。
「……偶然?」
聞くと、翔悟くんは笑って首を振る。
「こっそりどこ出かけてんのか聞いたんです。
そしたら、12時からの映画観るって言ってたんで……ま、報告がてら?」
「……もう。びっくりした」
「でもあいつには真っ先に報告したいじゃないですか。
あおいさんのこと、あんなに心配してたんだから」
ね? と軽く顔を覗き込まれる。
「……ん」
確かに、そのとおりで。
本当に翔悟くんは、そういうとこちゃんと気づくひとだな……そう思った。
「ありがとう、翔悟くん」
「どういたしまして」
ふふ、と顔を見合わせて。
……そして私はまた、彼に惹かれていく。