この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
暁闇
第18章 繋いだ手
……車に揺られながら、窓の外を見る。
言葉は発さなくとも、繋がれている手のぬくもりが、心を優しく包んでくれているような感覚を私は覚えていた。
年末年始は弟と一緒におばあちゃんちに返る予定だった。
お母さんとちゃんと話そう――――。
そう、心に決めた。
それから、今日子ちゃんにも連絡を取ろう。
成人式のとき、宮田先生にも声を掛けたと言ってた。
だったら連絡先、きっと知ってる。
……あのときのこと、
ちゃんと、謝りたい――――。
翔悟くんと絡めている指に視線を送る。
彼がくれた、向き合う勇気。
きゅっ……と、力を込める。
「ん?」
翔悟くんが、前を向いたまま声だけで尋ねてきた。
「ううん……何でもない」
答えた私は、再び外へと視線を向ける。
そうして、自分に言い聞かせた。
……少しずつ。
けれどもちゃんと、確実に。
翔悟くんに向き合う。
自分の気持ちに、向き合う。
そう――――逃げずに。