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暁闇
第4章 ふたりの想い
「じゃあね! また連絡するー!」
終わった後、二次会組の集まっている中にいた坂本が、帰ろうとした俺にそう声を掛けてくる。
手をあげてそれに応えた俺に、ほかの人たちが、二次会行かないの? とか。行こうよー、とか。声をかけてきたけど、それを丁重に断って。
「……さむ」
会場を出る。
さっきまでの熱気を帯びた場所が嘘のように、外は寒かった。
駅までの道を、俯き加減でただ歩く。
ひとりでいれば、どうしても思うことはひとつだ。
桜井のこと。先輩のこと。
そして思えば、苦しくなるのも分かっている。
桜井の幸せそうな姿を見て、それを最後にもう気持ちにけりをつけたいと思って来たけど……見込みがないからといってすぐに忘れられるほど、気持ちってそんなに単純なものじゃない。
このまま帰って家でひとりになれば、そんな感情により襲われるだろうことは間違いなくて。
だからといって、二次会まで出る気にはさすがになれなかった。