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暁闇
第19章 後戻りなんかさせない
俺の腕の中で、静かに眠りについた彼女。
明け方まで眠れなかった俺は、彼女の言葉を何度も思い返し、何度もそれについて考えていた。
少しだけ聞いていた、過去の話。
彼女の言葉と、丈の言葉。
そこからなんとなくの想像はしていた。
けれど――――。
すべてを聞かされて初めて、彼女の心にそれがそこまで巣くっていたことを知る。
根深い罪悪感。
それが原因で、彼女は幸せになることを避けていた。
幸せになってはいけないのだと、自分で自分を縛り付けていた。
丈の言葉を伝えたときの、号泣。
それで、俺には充分伝わってきた。
『幸せになってほしい』
その言葉にたまらなく感情が揺さぶられるほど、彼女は弟に……そしてきっと親に。先生に。
負い目を感じ続けてきたのだ。
『私なんか』――――そう自分のことを卑下して。
自分を責め続けて。
自分に自信も持てずに。
……そうやって、ずっと。