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暁闇
第19章 後戻りなんかさせない
ふたりで、たくさんの幸せな感情を共有した。
丈と結ちゃんに会ったときのあおいさんの顔――――。
「面白かったな」
丈たちの反応も。
……あいつと少しふたりで話しているとき、小声で報告された昨日のこと。
無事に卒業したと聞いたときは、つい頭をくしゃくしゃに撫でてしまった。
そんな中
『姉ちゃんのこと、よろしく』
最後にあいつが言ったそのひとことに。
『勿論』
俺は即答した。
彼女の気持ちが揺れていることに気づいていたけど。
それでも、俺に対する感情には確信があった。
眠っていたときにされた口づけ――――。
俺と同じことをした彼女。
その衝動を引き起こした感情は、俺が一番分かっていたから。
彼女の俺に対する気持ちは、間違いないと思っていたから。
だから彼女の迷いも、心の揺れも。
全部受け止めようと思った。