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第19章 　後戻りなんかさせない

『翔悟くんとずっと一緒にいたい』


そして彼女はそう言ってくれた。
揺れてもいいから、俺への想いから逃げないで――――そう口にしたとき。


『揺れても、逃げない』


昨日の彼女からは想像できないぐらい、はっきりとした口調で。
彼女の中に隠れていた強さを見た瞬間。


『だから、見捨てないで』


絞り出されるように発せられた、その言葉。
そう……同時に、弱さをも。


それは揺れ動く彼女の感情そのままで。
なら俺は、そんな彼女を支えるまで。


見捨てたりしない。
そんなこと、するわけない。


幸せを否定するその感覚に再び彼女が引きずり込まれないように。

そして同時に、彼女が幸せだと感じられるような時間をたくさん重ねて。
もう二度と、自分は幸せになっちゃいけないなんて思えないぐらいに。

たとえ揺れても、でももうこの幸せを失うなんてできない……そう彼女自身が思い、迷いを振り切れるぐらいに。


ずっと、俺がそばにいて。
ずっと、彼女を想う。



――――俺が、後戻りなんかさせない。