この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
暁闇
第20章 ほどけて
「もしかしてずっとそんなこと考えてたの? って。
……お母さんたちの離婚は、私のせいじゃない、って言われて」
「あおいさん――――」
「家族が単身赴任してる家なんてたくさんあるし、ちゃんとうまくいってる夫婦も多い……だから、離れたことが原因なわけじゃない、って。
……私のことが起こる前から、お父さんとはうまくいってなかったんだ、って……」
そうして続けられたあおいさんの話。
できれば離婚は避けたいと思っていたあおいさんのお母さんの心境は、離れて暮らし始めてから変わっていったらしい。
両親や友人がいる、慣れ親しんだ場所での生活は自分を前向きな気持ちにさせてくれ。
そんな中感じた、お父さんに他の女の人がいる気配。
それでもう、すぐに離婚を決めたのだと――――彼女に話したそうだ。
「……知らなかった」
ぽつり、と呟く彼女。
「うまくいってなかったなんて、全然気づかなかった。
お母さんも、お父さんも。私や弟の前ではいつも普通だったと思うし……。
……でも、そのときの私は自分のことばっかりで、あんまり周りが見えてなくて。だから気づけなかっただけかも……だけど」
自嘲気味な笑みを、浮かべて。