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暁闇
第20章 ほどけて
「お母さん、離婚したらすごくすっきりしたって。
……ずっと決断できないままの数年はやっぱり苦しかったって言ってた」
「……そうだったんだ」
こくん、と頷く彼女。
「もうね、何回も謝りあっちゃった」
「え?」
「中学のとき、迷惑いっぱいかけてごめんなさいって私が言うと。
あのとき、転校という形でしか助けてあげられなくてごめんね、ってお母さんが」
「あおいさん――――」
「親の離婚をそんなに気にさせてたこと、気づいてあげられなくてごめんね、って。
ちゃんと説明しなかったせいで、何年も自分のせいだと思わせててごめんね、って」
きっとそのとき、ふたりでたくさん泣いたのだろう。
あおいさんの目には今、涙はなかった。
そして、ふふ、と。
何か思い出したかのように、その口元に浮かぶ笑み。