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暁闇
第4章 ふたりの想い
「同期です、ただの同期!」
「でも――――」
「流れで、桜井くんが長く片思いしてるっていうの知ってたんです! それで……」
急に語尾が、弱くなる。
「……だって、桜井くんは、琴音さんのことしか見えてなかったから」
「――――……」
「私の気持ちも、きっと知らなかったと思います」
そして浮かべた、困ったような微笑み。
俺は急になんだか自分が恥ずかしくなって。
だって、何も知りやしないのに。
「……すいません」
「あ、全然! そんなのいいんです――――」
「俺、なんか……つい」
先輩は桜井だけとか言っておきながら、本当は違っていたのかと勝手に早とちりしてしまった。
「……村上さん、琴音さんのこと」
松下さんの、その静かな口調。
俺は思わず頷いていた。