この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
暁闇
第22章 躊躇いの理由
「……俺、あおいさんに任せっきりとかそういうことしないよ?」
そして今日も、俺のアパートに来た彼女と話す。
「こうやって俺も一人暮らししてんだから、家事はあらかたやれるし。
あおいさんの負担を増やしたりなんかしないから。
別に、俺の世話をしてもらいたくて一緒に住もうって言ってるわけじゃないから」
「翔悟くん……」
「ただ、いつも一緒にいたいんだ」
俺の言葉に、それは私も……と呟くあおいさん。
俺は、考えつく限りの言葉をさらに並べる。
「……もちろん、たまにはひとりでいたいときもあるだろうから、そういうときはそう言ってくれれば邪魔しないようにする。
せっかく、リビングの他に部屋がふたつある作りなんだし」
「……ん」
他にもいろいろ口にしたけど。
やっぱり彼女の答えは曖昧なそれで。
「……翔悟くんの言葉、嬉しい。
でも私、今でも充分幸せだよ?」
そう言って、俺に笑いかける。
「なら一緒に暮らしたらもっと幸せだって思えない?」
「……それは」
「俺、会えないとき……この部屋でひとり、よく考える。
あおいさんどうしてるかな、とか。
今日はつらいことなかったかな、とか。
悲しい目にあってないかな、とか。
……あおいさん、ちょっとやそっとのことじゃ俺に言わないから」
「翔悟くん――――」
「一緒に暮らせば、すぐに話聞けるし。態度で察したりもできるし。
いつでも抱き締めてあげられる」