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暁闇
第22章 躊躇いの理由
俺は、横に座る彼女を抱き寄せた。
「こうやって」
その甘く香る髪に、埋めた顔。
……本当に、離したくなくなる。
「だから、考えてよ……あおいさん」
さらに、腕に力を込めた。
「いつも一緒にいたら、あんな考えしなくて済むようになるかもしれないし」
そして、ふと思い出したそのことを口にする。
「……あんな考え?」
「ん――……。
……俺との関係の終わりとか?」
――瞬間、彼女が俺から身体を離した。
「え……?」
俺の顔を、まじまじと見て。
「……なんで……私、そんなこと言ってない……」
「あ――――……うん」
「言ってないよ……」
ゆらゆらと、揺れる瞳の中の俺。
「……言ってはないけど、思ってたでしょ?」
ゆっくりと、首を振る彼女。
「思ってない……だって信じてるもん」
まるで自分に言い聞かせるような、口調だった。
「あおいさん」
「信じてるよ、ちゃんと翔悟くんのこと……っ」
揺れる瞳から、滲んでくるもの。