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暁闇
第5章 終わらせる決意
「……俺は、高1のときでした」
「琴音さん? そんなに前からなんですね……」
頷いて答える。
「隣のクラスだったんですよ。で、よく見かけて。
とにかく可愛い子だな、って……最初はそんなかんじだったんですけど」
「うん」
「可愛いだけじゃなくて。優しくて。なんかこう……ちゃんとしてて。
やっぱいいな、って思ってたら、そのうち他にもそんなふうに思うやつがちらほら出てきて」
思い出される。
あのときのことが、つい最近のことのように。
「でも誰も告んないんですよね」
「どうしてですか?」
「……そのとき3年だったんですよ。葉月先輩」
「桜井くん?」
「はい。で、けっこう桜井のことガードしてたっていうか。妹のことすげー可愛がってるっぽくて。
で、みんな先輩を警戒して桜井に近づけなかったっていうか」
「ほんとに?」
くすくすと松下さんが笑う。