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暁闇
第23章 優しさの連鎖
「あ」
何か思い出したかのように、翔悟くんが突然声を出した。
「丈の引っ越しのときは俺も手伝うよ」
「え?」
「人手はあった方が」
「ん――――……。
そんなに荷物ないと思うから大丈夫だよ?」
後ろを振り向いて答えた私に
「でも丈としばらく会えなくなるし」
視線を合わせて、彼は言う。
「それにお母さんも来るんでしょ?」
「あ、うん」
「ちゃんと挨拶したいから」
「翔悟くん……」
「で、一緒に住んでみて。
俺と結婚しても大丈夫、ってあおいさんが確信できたとき、正式に……って思ってる」
「……反対に、私が翔悟くんにがっかりされたらどうしよう」
そう答えて、その自分で口にした内容に思わず顔が強張ってしまう。
一緒に住んでみたらやっぱり私とは無理そう、ってそんなふうに思われることもあるかもしれない……。
頭の中が、いろいろな心配でいっぱいになりそうになったとき――――。