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暁闇
第23章 優しさの連鎖
「どうして……」
ぽつりと零した言葉に、彼は、ん? と唇に耳を寄せてくる。
「……どうして翔悟くんはいつもそんなに優しいの?」
「え? 俺が?」
途端に戸惑うような、苦笑いを浮かべて。
「優しいのは俺じゃなくて……あおいさんの方でしょ?」
「え……」
私――――?
「俺はただ、あおいさんが優しいから。
同じように返したいだけ」
「私だって、そうだよ……?」
翔悟くんが優しいから。
嬉しくて、同じ気持ちで返したくなる。
ただ……それだけなのに。
翔悟くんは少し黙って。
「……やっぱり、俺……そんなあおいさんが好き」
ぽつりと、そう言ってきた。
「俺……自分のことそんなふうに思ったことないけど。
俺を優しいって言ってくれて。
同じように返したい、って考えてくれるあおいさんが好き」
「……そんなの、翔悟くんだって――――」
「ん……だから。価値観が似てるって言うのかな。
大事にしてるとこ、同じだなって」
「同じ……」
「やっぱり、俺たちはうまくやっていけるって……今、あらためて思った」
ぎゅっ……と、抱き締められている身体に力が込められる。