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暁闇
第24章 初めて口にした
「……ほんっと、可愛いな」
思わず、声が漏れた。
驚いたように振り向いたあおいさんが……あおいが、入り口に立っている俺に気づいて少し照れくさそうに頷く。
「ね?」
チェーン部分をつまむようにして、揺らす。
「違うよ……可愛いのはあおいだって」
苦笑しながら、洗面所の中への足を踏み入れ。
彼女との間合いを詰めた。
「そんなに喜んでくれると思わなかった……」
俺はそう呟いて、空いている彼女の手をそっと掴む。
ネックレスに触れている指先は固まってしまったかのようにそのままで、彼女が俺と視線を合わせた。
ゆらゆらと、落ち着きなく揺らす瞳。
「……嬉しい」
言いながら掴んだ手を少し引くと、素直に俺の胸へと身体を任せてくる。
けれど身体のあいだにある、彼女のもう片方の手。
それが、触れ合うのを邪魔して。
もどかしい感覚に襲われた俺は
「……こっち、見て」
その言葉で顔をあげた彼女の唇に、口づけた。