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暁闇
第24章 初めて口にした
「ね」
「……ん……?」
まだうっとりとしているような顔をしている彼女。
「さっきあげた薔薇……名前、知ってる?」
俺の言葉に、俺を見つめながら瞬きを2、3度。
それから、起きようとする。
俺はそれを助けるように抱き起こし。
寄り添うように、並ぶ。
胸元に手をやった彼女が、あ……と呟いた。
「ネックレス……」
さっき外したそれを欲しがるから。
俺はベッドの棚に置いていたそれを、彼女に差し出した。
「……つけて?」
激しかった交わりを物語るような、汗で濡れた髪を片側に寄せ。
俺を見て、言う。
「ん」
……そして、俺はそうして。
再び身体に戻ったそれを、彼女は微笑んで見つめ。
「……品種のこと……?」
視線はそこに置いたまま、言葉だけで俺のさっきの問いに答える。
「うん」
「……分からない、けど」
どこかまだ気怠そうな仕草で。
テーブルに置いたままの花束に視線を移した。
「……どんな名前なの……?」
それから、そう言って俺を見る。