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暁闇
第24章 初めて口にした
「……ドルチェ・ヴィータ。
甘い生活……って意味らしいんだけど」
口にしたら、何だか急に照れくさくなった。
「え……?」
聞こえなかったのか、そう聞き返す彼女。
「だから――――」
苦笑いして、内緒話をするかのように彼女の耳に口を寄せ、もう一度言った。
彼女の顔が、俺を見る。
そしてその表情が、嬉しそうに崩れ。
並んでいる俺の左肩に、頭をこてんと乗せる。
「……そうなんだ」
「ん」
くすくす、と笑うその身体の振動が伝わる。
「……そんなふうに過ごしたいね」
彼女の言葉。
俺は黙って頷く。
「……ありがとう……」
呟きは、続いて。
「私を好きになってくれて。
……私を、選んでくれて」
ありがとう――――と、また。