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暁闇
第25章 Epilogue
「琴音」
愛しそうに私の名を呼ぶ、その彼の声。
感情を露わにすることを許してくれる、安心できるその場所――――。
とても幸せで。
心が満たされている。
……そうして、私は思った。
彼が、いつまでも幸せでありますように、と。
いつも何でもないように口にするその言葉で、私を支え続けてきてくれた人。
それは今も、何も変わってはいなくて。
私の心に少しの負担も残そうとはせずに。
……ありがとう。
何年もそばにいてくれて。
私を、好きになってくれて――――。
優しく頭を撫でられる気配。
彼のその身体に強くしがみついた。
涙が少しだけ頬を伝ったけど。
きっとそれは、この腕の中で静かに消えていくだろ
う。
大好きなひとの、その香りに包まれながら。
……どうか。
そして、また私は祈った。
どうか、私の大好きなひとたちがいつも幸せでありますように。
そう……。
いつまでも、幸せに笑っていてくれますように、と――――。
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