この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
暁闇
第27章 *おまけ*葉月と琴音*
「……でも、私のだもん」
きゅっ、と。
その身体にしがみつく。
「葉月くんは私のものだもん」
私の身体を抱き締めてくる彼の腕。
「……ね、そうでしょ?」
呟きは、すぐに返される。
「そうだよ」
私の髪に、彼が顔を埋めてくるその気配。
「僕は琴音のもの」
はっきりと、言われて。
その瞬間に私の心は甘く満たされる。
「……すき。だいすき」
呟くと、またすぐに返される。
「僕もだよ、琴音。愛してる」
嬉しくて。
甘えたくなって、そのまま胸元にすりすりした。
「何? ……可愛いんだけど」
くすくすと、笑い声が聞こえて。
ぎゅうっと強く抱き締められる。
ああ……、と。
深く長い息を、葉月くんは吐いて。
「……幸せ」
ぽつりと、そう口にした。
ほわんと、胸があったかくなって。
「私も……」
ふふ、と笑って。
彼を見る。
満足そうに微笑んだ葉月くんが、私に顔を近づけてきた。
だから私も、そうする。
ちゅっ、と重ねて。
また、ぎゅっと抱き合った。
……もうすぐ。
4年目の、春がくる――――。
*おしまい*