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第5章 　終わらせる決意

桜井を諦める決意をしたこの日。
本当にひとりじゃなくてよかった。

……いや。
ひとりだったら、きっと決意なんてできなかった。

ずっと熏ぶっていた想い。
完全に消す勇気が持てず、引きずったままだった俺。
口にも出せずに心の中に閉じこめていたそれを、解放できたせいだろうか。
その決意が、本当に静かに、俺の中に生まれた。


この人のおかげだ――――。


そっと、隣の彼女を見る。
今日会ったばかりなのに、そのたくさんの優しい言葉で、俺の決意を引き出してくれた。
感謝しかなかった。


手にしたグラスを、静かに傾ける。


……桜井を俺の心の中から消すまで、とても時間がかかるだろう。
解放させまいと言わんばかりにその感情は、再び俺を惑わせるかもしれない。

けれどそうやって揺れながらも。
いつか、その想いを俺は封印できるだろう。

……そんな気が、する。

そう……それがいつかはわからないけれど、きっと――――。