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暁闇
第6章 新たな関係
「俺こそ……昨日も今日もありがとうございました」
その言葉に彼女は嬉しそうな顔をして。
また、軽く俺に手を振ると、そのまま車を発進させた。
俺は、見えなくなるまでそれを目で追って。
やがて、改札へ向かって歩き出す。
ホームで電車を待ちながら、俺は考えていた。
――本当に。
あれは俺のセリフだった。
あおいさんがずっと居てくれたから、俺は必要以上に桜井と先輩のことを考えずに済んだ。
昨日は、それを覚悟していたのに。
苦しい一日に……夜になるかもしれないと思っていたのに。
あおいさんのおかげで、後ろ向きな一日ではなく、前向きな一日になった。
スマホを開き、LINEを立ち上げる。
新しく増えた名前。
あおいさんと、丈君。
文字を打とうとしたとき、スマホが震えた。
メッセージが入ってきたのだ。
「……丈君」
その文面を目にし、自然に口元がほころぶ。