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BAR・エロス
第13章 疑い・・
給湯室で、
後ろからいきなり乳房を掴まれた驚きに
キャッと小さな叫び声をあげてしまった。
「ダメだよ、こんなとこで声出しちゃあ」
修だった。
誰もいない給湯室の中で
一人ぼんやりとしていた私にイタズラしたのだ。
「もう!ビックリさせないで!
誰かに見られたらどうするのよ」
声をあげた事と、乳房に残る感触に恥ずかしがりながら
修の腕を叩いた。
「そんなヘマはしないよ。それより梓さん、
今週こそはあけておいてよ、予定。
だってさ、梓さん何かしら用があるとか言って、
全然オレをかまってくれないんだもん」
また1ヶ月近く修をほったらかしにしてしまった。
急に会いたくなったり
捨てられたくないと思ったりするわりには、
修以外のことに時間を費やしていたのはまぎれもない事実。
最近の私は
時間ができればBAR・エロスを優先させていた。
修がむくれるのも当然だ。
「ごめんね、今週は大丈夫よ」
「よかった!ねぇ、
オレにも美味しいコーヒー淹れてよ」
「はいはい、とびきりおいしいのをね」
コーヒーの香りがたち込める。
ごく普通のありふれたやり取りに、
なぜだかとっても安心した。
いつも通りでよかった。
ごく当たり前の毎日でよかった・・
そうおおげさに思ったのは、
急激に変わっていきそうなこの生活に、
期待以上の不安を感じているからかもしれない。
修の横顔に目をやると、
いつもと変わらぬ無邪気な顔で
コーヒーをすすっている。
眼を合わせると、美味しいよ、と笑う。
その笑顔に不思議なほど
癒された・・