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BAR・エロス
第15章 紫苑・・
互いの体は
汗という水分のおかげで
ピッタリと肌がはり合わさっている。
紫苑は髪までも
湿り気をおびてしまったようだ。
その髪をいじると、
私の唇を指でなぞった。
「梓さんの体とは相性抜群だ・・」
ほんの10センチの距離で目にする紫苑の瞳は、
魂をも難なく吸い取ってしまった。
「ほんとね・・どうしよう・・
紫苑さんから離れられなくなっちゃうわよ・・」
こうやって回を重ねるたびに
気持ちがひきつけられ、離れがたくなって、
そのうちに頭の中は
相手のことでいっぱいになってしまう・・
「紫苑さん、恋人は?いるんでしょ?」
体の相性とはまた別モノ。
彼ほどの男なら
恋人は1人じゃないかもとさえ思える。
「このベッド、どう見たって2人用よね?」
手足をひろげてその余裕を確かめながら
紫苑に問いかけた。
聞かれて紫苑は、
静かな長い息を吐くと、
「恋人はいない・・
別に必要ないんだ・・」
わずかだが苛立ちを感じさせながらつぶやいた。
その横顔は私が初めて見る曇った表情。
この男も・・
なにか内に抱えているのか・・
ベッドの上で裸になったついでに
心も裸にしてみようと、私は彼を知るために
問いかけ続けることにした。
「必要ないって、どういう事?
何かわけでもあるの?紫苑さんのそんな顔・・
初めて見た・・」
彼の顔にかかる前髪を指で払って
その心情を窺おうとじっと見つめる。
やがて紫苑はあきらめたように、というよりは
今なら、と踏ん切りをつけたように重い口を開いた。
「1人の女にのめりこみたくないんだ」
私とおんなじ台詞を吐き出すと、
紫苑は私の眼を、怖くなるくらいのまっすぐさで見つめてきた。
そして話を続けた。