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BAR・エロス
第17章 エロスのママ・・


7時ちょうどに
あの重いドアを引いた。

振り返る紫苑が案内にでてくるよりも早く、
私はいつもの席へとむかった。


「お疲れさま」


バーテンとして私を迎えるその笑顔も
多少の変化を感じる。
客、以上の間柄であることを
感じさせる・・


「昨夜は・・ありがとう。
 泊り心地はサイコーだったわ」


「そう、だったらこれからも・・
 どうぞおいでください」


紫苑はやはり、
私をその手の中に抱えたいのだろうか。
女は信用しないと吐き捨てた彼の心情を、
私が塗り替えたのだろうか。
妄想、
ではなかったということだろうか・・


「私のことは信用してくれるの?」


下を向いて紫苑は笑う。

恥ずかしそうに天を仰ぐ。


「久し振りにのめり込みそうだよ、悔しいけど・・」



そう小さく笑う紫苑が
ごく普通の男に見えた。
特殊な能力を持つ冷静な男ではなく、
普通に恋する男に見えた。






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