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BAR・エロス
第17章 エロスのママ・・
しばらくしてドアの開く音に振り返った。
美しく着飾ったママだった。
今日は髪をアップにせず、
緩やかなウェーブが肩先でゆれている。
今夜のドレスは髪形に合わせて
ふんわりとしたシフォンの生地だ。
紫苑はすぐさま彼女のもとへと駆け寄る。
ママに何かを話すと、
彼女は嬉しそうな表情をうかべて
私の方に顔を向けにっこりと笑った。
「いらっしゃいませ。
今夜は私の話を聞いていただくためにわざわざお越しいただいて
ありがとうございます」
私のもとまでやって来たママは、こちらへと
促がすように手を差し出して、
奥の席へと歩き出した。
私も、そして紫苑も後に続く。
テーブル越しに向かい合って座るママの顔を
じっくりと眺めてしまった。
美しいうえに熟女の色香をプンプンさせている。
女の私でさえ
ポーッとしてしまうほどの妖艶さだ。
早速、といった感じでママは
やや身を乗り出して口を開いた。
「篠原梓さん、でしたわね。
私、吉原幸子と申します。
紫苑から合格の報告を受けました。
まずは面接を受けていただいたお礼を言わなくては・・
ありがとうございました」
・・受けた?ほぼ無理矢理だったじゃない!・・
紫苑をチラっと睨んだ。
彼は鼻にしわを寄せて肩をすくめた。
「あ・・いえ・・ちょっと驚きましたけど
なかなか面白い経験をさせていただいたと思っています」
私もまた調子のいい返事をしてしまった。
「紫苑は太鼓判を押しています。
篠原さんなら間違いない、とね。
相当あなたを気に入ったようよ」
気に入ったのはママとしての資質?
それとも抱いた女としての執着?
どちらにしても恥ずかしくて彼に視線をむけられず、
ママを見つめたままはにかんだ。
「そう言っていただけて・・なんだかうれしいです。
それであの・・まず私から
質問させていただいてもよろしいですか?」
ママは黙ってうなずいた。
「なぜ私、なのでしょう?
それとママがいらっしゃるのにどうして
ママを求めているんでしょうか?」
まずはそこから聞かねばなるまい。
どんな事情があるのか、そしてなぜ、私なのか・・
ママはもう一度頷いてゆっくりと話を始めた。
まずは私の話を聞いてください、と。