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BAR・エロス
第18章 私の中・・


目じりの滴はいつの間にか乾いていた。

私の声にも明るさが戻った。

空気が一気に流れ始める。
停滞していた不安、という空気が
どこかへ消えていったから。


紫苑も私も、
過去が引っかかったままでいることはわかっている。
だからこそ、
余分なものは排除して
必要なものだけを大切にしていけばいいのだと考えられる。

あてになるとは限らない約束なんかするよりも、
心のままに求めれば、それでいい・・


「紫苑さん・・ありがとう・・」


毛布の中で寄り添う体は
再び熱を帯びてきた。
でも快感を導き出すことはしなかった。

ただ体を寄せて
心が通じ合ったことを喜んだ。


ふと、紫苑が思い出したように口を開く。


「そういえば、
 さっきママが何か言ってたみたいだけど・・
 なんて言ってたの?」


ああ、あれ・・
意味ありげに口角をあげる。


「ママになっても交渉相手を探してもいいって。
 それとね・・
 バーテンとママの恋愛も
 OKだって言ってたわ」


紫苑は顔を赤くして毛布の中にもぐりこむ。
珍しく子供みたいに
じたばたと体を動かす。
私も毛布にもぐって
からかうように笑いながら彼の体をくすぐった。

毛布の中で渦巻く2人の笑い声。
こもる空気も温かくなっていく。

・・この人とならうまくやっていける・・

私ははっきりとそう思えた。

きっと彼も・・
同じように思ったに違いない・・
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