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BAR・エロス
第19章 修の中・・
日曜、夕方5時。
いつもと変わりない一日を終えた。
タイムカードを手に取ったところで
修と一緒になった。
「お疲れ様でした」
わざとらしく挨拶をかわす。
そして何食わぬ顔で
同時にエレベーターに乗り込み、
降りてからまた挨拶をかわして
それぞれの歩調で駅の方向へと歩きだす。
地下鉄に乗り込んでからやっと、
修に近づき目を合わすなり私はふき出した。
「同時に会社出るの、初めてだよねぇ。
やっぱ緊張するもんなのね」
いつもは時間のズレがあるから
社内の眼などまるで気にしなかったが、
一緒にいればふとした拍子に
いつもの雰囲気が出ないとも限らない。
そういうところから
秘密というのはバレていくものだ。
「内緒の社内恋愛の人たちってきっと
大変なんでしょうねぇ」
「社内不倫はもっと大変だよぉ」
頭の上から修が声をかぶせてくる。
見上げて、さらに目を見開いて大きく頷く。
恋愛なら祝福もされるだろうが、
不倫はただただ白い目で見られるだけ。
良い事なんかひとっつもないはずだけど、
それでも引き込まれていく男と女は
後を絶たない。
「不倫はいけないよぉ、不倫は。
私たちみたいに
健全なセックスパートナーならいいけど」
修の耳に唇を寄せてそう囁くと、
車内の騒音にも勝てるくらいの笑い声をあげた。