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BAR・エロス
第6章 見つけたけれど・・
BAR・エロスを見つけ出してから初めての週末、
仕事帰りに店の様子を見に行った。
昼間も静かだが、夜になると少ない灯りに
まるで違う道のりに感じた。
道ですれ違う人は一人もいない。
住宅はあるが、まだ誰とも遭遇していない。
ちょっと風が出てきた。
木々が揺れて
葉のざわめく音が渦巻いている。
その木の向こうに見えてきた。
見つけたあの建物。
そしてBAR・エロス。
煉瓦の建物の前に立つと、
この前開いていたチョコレート屋とベネチアの店は
灯りが落ちて閉まっていた。
そして・・
1軒だけ・・
入り口にぶら下がっている
トルコのランプが明々と光を放っている。
バーによくある置き看板は出ていない。
ドアに近づくと、あのプレートが掛けてある。
OPENの面を表にし、その下には店の名前。
よく見るとその文字、暗闇にキラキラ光って見える。
何か特殊な塗料でも使っているのだろうか。
少し離れたところからも、
そのきらめきは確認できる。
・・なるほどね・・
散々ドアの前で眺めまわしていたが、
その取っ手には手をかけられなかった。
・・どうしよう。やっぱためらうな・・
その時後ろの方から
足音が聞こえてきた。
誰かやってくる・・