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BAR・エロス
第9章 12回目の夜・・
何かが変わった気がする・・
修の口からそう言われた時に、
私は真っ先に
BAR・エロスの紫苑の顔を思い浮かべた。
紫苑に与えてもらった別の世界、
そしてカレそのもの・・
あのバーとのかかわりが、確実に
私の中に変化をもたらしていることは
間違いないようだ。
修とは1か月半ぶり。
あのバーに夢中になってしまったせいで
こんなに月日を見送ってしまった。
修は、顔はにこやかにしてはいるが
ご無沙汰してしまったことに対する不満を
ぶつけてくることを忘れてはいなかった。
「最近さぁ、あずぅはオレのこと、
どうでもよくなっちゃったみたいだよねぇ。
1か月以上もしてないなんてさぁ~」
焼き鳥の串をクルクルと回しながら
私を横目でにらんでいる。
年上女のツボにビタッとハマるように
唇を色っぽくとがらせて。
「そんなわけないでしょ!」
そう言って手を握っても、どこか疑っているような眼差しが
なかなか許してくれないでいる。
「私だって修としたかったよ。したかったけど・・
実はね、試してみたの」
「なにを?」
「修としなかったら私・・
どうなっちゃうんだろうって」
本当はそんな事、考えてみた事なんて一度もない。
修としなかったら、なんて
今のところありえない事だから。
想像さえしようとは思わないのに、
じゃあなんでそんな事言ったんだろう・・
ただの・・言い訳・・?だよね・・
「へぇ・・で、どうなった?」
テーブルの下で修は足先をからませてきた。
「やっぱり・・
しないとダメだって・・」
わざとらしい言い方にも気づかない修。
彼の純粋さには救われる。
何の疑いも持っていないのだろう。
私の足を両の足で挟んで力を込めてくる。
納得した、とでもいうように。
「オレも!あずぅとでなきゃダメだ」
珍しく修の方から私の手を握ってきた。
少しばかりの感激に彼の顔に目を向けると
普段見せない寂しげな表情で私を見つめている。
「梓さん、なんだか少し変わった気がして。
もうオレじゃダメなのかなって、
ちょっと落ち込んじゃった・・
でもそれって勘違いだったんだよね?
梓さんはまだまだオレのこと
必要としてくれてるんだよね?」