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BAR・エロス
第9章 12回目の夜・・
街が動き出してもまだ、
私達はホテルにいた。


今朝はホテルのカフェで
2人で朝食をとることにした。

私がねだったからだ。


今朝はもう少し一緒にいたい・・
そう言って
彼に時間をねだったのだ。



いつもは動き出す前の街を
1人家路につく寂しさばかりだったが、
昨夜の出来事が
私を少し変えた。
わがまま言って男を引き止める、
ありがちな女に変えてくれたのだ。



朝日を感じてからベッドから抜け出し、
のんびりとシャワーを浴び、
ホテルの朝食を楽しんだ。


広々としたカフェレストラン。
天井の高さを見上げながら、
徐々に近づいてくる
コーヒーの香りに鼻をひくつかせた。


「奥様、コーヒーのおかわりはいかがでしょうか?」


ウェイターにそう声をかけられても、
すんなりと応じた。
いつもなら照れながら口ごもってしまうのに、
今は落ち着いて返事ができた。


「お願いします」


ウェイターは私と修のカップにコーヒーを注ぎ足すと
ゆったりとした足取りでカウンターに戻っていく。

その背中が十分離れていってから、
修が小声で私をからかう。


「顔が赤いですよ、奥様」


たしかに、少し熱りを感じている。

世の中から私たちは
表の関係だと認められ、
こんなに歳が離れていても
この男の妻なのだろうと思われた・・
うれしいっていうより
興奮しているといった方があてはまる。


「私が修の奥さんに見えるのかしら。
 修は嫌じゃない?そんなふうに見られて」


「めずらしいね、梓さんが謙遜するなんて。
 嫌なわけないじゃない。オレだって
 若いツバメには見られなかったんだから。
 梓さんの夫って、思われたんだから」


落ち着いた太い声に、
本心だと思えた。

昨夜の出来事は間違いなく、
私たち二人の中に
新しい想いを生み出していた。



いつもより2時間遅いチェックアウト。

人の波でざわつく駅の改札で修を見送った。

何度も振り返って手を振る修にむける笑顔は、
自分で見たらきっと
恥ずかしくなるほど頬が緩んでいただろう。


普通の恋人たちなら当たり前のことが、
こんなにも体の中で響きまくるとは、
正直驚いた。

こんな些細な事を
幸せだと思える自分がいたなんて、意外だった。

人ごみの中の修が見えなくなってから、
私は地下鉄の駅へと歩き出した。
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