この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
BAR・エロス
第11章 面接・・
「いらっしゃいませ、梓さん」
さっそく紫苑は私を梓と呼んだ。
慎吾と出会ったあの日から1週間。
報告もかねてここに足を運んだ。
BAR・エロスに通う間隔は、
回を重ねるたびに縮んでいく。
私はすっかりこのバーの
虜になってしまったようだ。
「先日は・・
またもや僕のマッチングになってしまいましたけど?」
ドアまで出迎えてくれた紫苑が
一歩遅れて私の後からついて来る。
今・・
なにか音がしたような気がするけど・・
後ろが気になりながらも
いつもの席と言いたくなるほど座り慣れた
真ん中あたりのスツールに座った。
「いい夜だっだわよ、とっても」
慎吾とのあの夜は
彼のためだけではなかった。
私にとっても意味のある夜だった。
人を導く、その手助けをどれだけできるようになったのか、
女としても、人としても。
それを改めて知ることができたのだから。
「どうやら慎吾さん、
梓さんのお相手を無事に勤めあげたようですね」
顔中で笑顔をつくって頷く。
この顔を見れば
どれだけ満足したかわかってもらえるはずだ。
「私もね、教えられることがあったわ。
紫苑さんのマッチングは間違いないわよ」
前回くってかかったことが嘘ようだ。
「お褒めいただいたお礼に
これは僕から」
差し出されたグラスの中で揺らぐ琥珀の液体は、
バランタインの12年物。
高い酒をご馳走してくれるなんて
粋な事してくれる。
さっそく口にすると
まろやかな口当たりが
ほのかな酔いを感じさせてくれる。
「美味しいわ・・
美味しい酒と美味しそうなバーテンのいる店・・
この店最高よ」
濃いめのせいか、少し頭がふらっとする。
おでこの先あたりに
フワフワとした軽さが漂ってきた、と自覚すると同時に
いつのまにか
隣りに紫苑が座っていることに気がついた。