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LEMON DEPENDENCE
第9章 残念会でもするか?
「母さんは今も昔もずっと、その飛鳥先輩って人にぞっこんなんですよ」

「ぞっこんって、飛鳥おばさんは女だぞ」

「母さんはバイセクシャルだから、どっちもいけます…と言っても結局、飛鳥先輩には告白すら出来ず終いだったらしいです……てか、玲助さんのおばさんって事は、ひょっとして檸檬ちゃんのお母さんですか?」

「ああ…そうだ。世の中どんな偶然があるかわからないな」

「そっすね…てか、その想い人の檸檬ママに似てるからって、息子に同じ名前をつけるんすか?」



蒼空の疑問は尤もだと思う。

流石にそこまですると、ある種の執念を感じざるを得ない。



「名前を決めた方が先だよ。母さんは飛鳥って名前をつけたくて…で、たまたま飛鳥が成長したら飛鳥先輩そっくりになったってわけ」

「へぇ」

「…飛鳥は不憫な奴ですよ」



俺の相槌の直後、流星は飛鳥が消えた方を見据えながら言葉を続けた。



「飛鳥先輩に似ている分、母さんに溺愛されてるけど…母さんは飛鳥の事なんてこれっぽっちも見てない。いつも飛鳥の中に飛鳥先輩を見ているんです」

「………」

「……」



流星の今の言葉は胸に響いた。

俺だけでなく、蒼空も心当たりがいくつもあるはずだ。

俺達は付き合ってきた女達の中に檸檬を思い浮かべて来た。

だからその女そのものを見てきた事など、ただの一度もない。

矢野飛鳥をあわれむ資格など、俺達には毛頭なかった。
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