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第10章 時を越えて

「あの頃は…会う人、会う人皆敵に見えて。完全に人間不振に陥ってました。時間が経っても…あの頃のトラウマはやっぱり消えなくて。すりこまれた恐怖がどうしても人を信じることを許さないんです」

「……無理もないな。もっと早く檸檬に出会ってれば、檸檬を守れたかもしれないのに…ごめんな、檸檬」

「矢野くんは何も悪くないです。謝らないでください」

「…檸檬、これからは俺がしっかり守ってやるから…俺とずっと一緒にいてほしい」

「矢野くんが私を必要としてくれる限り、私は矢野くんから離れたりしません」

「檸檬…信じてる。ありがとう」

「お礼を言うのは私の方です…あの、あと一ついいですか？」

「何？」

「…あ、あの。私…信じる事は出来なくても、矢野くんに裏切られても潔く諦めるくらいの覚悟はしてます。それに…矢野くんになら何されてもいいとも…ちょっとは思ってます」

「…檸檬、それって」

「話しは最後まで聞いてください。……確かにそうは思ってますが、なにぶん…だ、男性経験がないので…怖いっていうか。あと、未成年に手を出したとかで後々よからぬ事が起きないか…とか。そんな事を悶々と考えています」



何言ってんの私！？

うわ、矢野くんもドン引きだよ…