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第1章 トークカフェ

晶は

この店に出入りするすべての男から
注目されている。

勿論、老人もその１人だ。
この店の常連だ。

だが、決して晶に接触しようとはしない。
常連だからこそ、晶の素性は見当が付いていた。

だから、ただこうやって

覗視（せっし）していた。
視姦していた。

奔放に組み替える細い足や

Ｙシャツ・サスペンダーのベルト
その下に隠し持っているであろう
半熟の胸部

それらが淫猥な責めでくねる様子を夢想し
ムラムラと欲情しながら時間を過ごす

それが老人の日課だった。


他の男たちも
晶の事を　脳裏で犯しているだろう。

口紅を引き直したばかりの唇が
喘いで吐息を漏らすさまを　想像しているだろう。

グラビアアイドルとも違う。
アダルトビデオとも、通常の風俗とも違う。
当然、健常なカップルの交際などとはほど遠い。

トークを申し込めば、ナンパも交渉もできる。
それでもここの常連客は、滅多に行動しない。

マジックミラーで屈折した欲望の『現場』。
それがこの店、”トークカフェ”の雰囲気だった。