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小さな恋のうた
第1章 秘密の補習授業
―コンコンッ。
『杉原です。失礼します。』
「はい。来たか。
さっさと済ますぞ。」
『あ…はぃ。』
素っ気ない態度の
澤田先生に付いて
準備室へ向かった。
(確かに見た目はカッコいい
けど…やっぱ恐いよ。)
「そんな時間かからないと
思うし、体育館は部活で
使うからここでいいか。」
『はい…。』
私たちは狭い準備室に
マットを用意した。
「まず杉原は体堅いから
開脚前転からだな。
やってみて。」
『はい…。
あ…あれ…。』
運動音痴の私は
予想とは裏腹に
マットの横に転がった。
「はぁ…。
中学でも習っただろ?」
『すみません…。』
「お前このままだと
体育1で留年だぞ。」
『えぇ!?それは困ります!
頑張ります。』
「じゃあまず基本から…。」
澤田先生はその後
手取り足取り基本から
教えてくれた。
それでも私はテストの
項目はおろか
中学生でも出来ることすら
出来ずにいた。
『ごごご…ごめんなさぃぃ…。』
「もうダメだな。1だ。」
『他の教えてください!
頑張ります!』
「…そうだな。
じゃあ体が柔らかくなるように
色々教えるから
それが出来たら合格にしてやる。」
『わかりました。』
(ストレッチで
合格にしてもらえるなら
ちょっと痛くても
がんばらなきゃっ。)
その時はそう思っていた。
「キツくても大きな声
出すなよ。」
『はいっ。』