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銀剣士の憂鬱
第4章 青白い満月の輝く夜
「今日はいい月だ。」
雲一つなく、青白い満月の輝く夜。
その日の満月はいつもにも増してなんとも幻想的な輝きを放っていた。
サラはぼんやりと月に見とれながら眠りにつこうとしていた。
世界でも名の通っている剣技の大会で16歳という最年少での優勝を果たし、自分の腕に自信をつけてから旅を始めてもう10年が経とうとしていた。
問題を起こし、懸賞金の掛けられていた魔物達を行く先々で倒したり、懲らしめたりしながら旅をしており、その倒す速さと身に付けていた鎧からそのまま「瞬殺の銀剣士」として名が知れ渡っていた 。
長身であることと、兜についた面具で常に顔を隠していたことから世間からは『男』として認識されていた。
あまり人と話すことはなかったが、ハスキーボイスだったこともあり、誰もが男と思って疑わなかった。
しかし、サラはそれでも全く構わなかった。
誰にも顔など見られたくなかった。
切れ目の細い目、大きめの口。
鼻と頬の回りにはそばかすが広がっていた。
幼い頃から顔を恐がられたり、「ブサイク」だの「ブス」だのと言われ続け、顔には全く自信がなかったのだ。
それでも、剣を習うとその才能がメキメキと発揮され、「これで生きていこう」と心に決め、女らしいこととはいままで一切関わりなく生きてきた。
そんなサラは満月の夜が好きだった。
満月の夜にはいつも
生活のため、時には自分の命を守るために殺めてきた魔物達の冥福を祈っていた。